
Dr.Watanabe’s tax column ドクター渡辺の税金講座 渡辺 豊 税理士事務所代表
令和3年度 税制改正
不動産取得税の税率の特例及び課税評準の特例の延長
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Q1.
不動産取得税の税率の特例及び課税評準の特例が延長されたそうですが、どんな内容ですか。
- A1.
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1.不動産取得税のあらまし
- 1)不動産取得税とは、土地や建物などの不動産を取得した人に対して、都道府県が課税する地方税です。
不動産の「取得」には、売買による取得だけでなく、家屋の新築、増改築はもちろん不動産の交換、贈与、寄付などによる取得も含まれています。(注1) - (注1)相続による不動産の取得、共有物の分割による不動産の取得(分割前の持分割合を超える部分の取得を除きます)など所有権の形式的移転等の場合は非課税となります。
- 2)不動産を取得した場合は、原則として都道府県に不動産取得税申告書を提出しなければなりません。(注2)
- (注2)申告しない場合でも都道府県から納税通知書が送られてきますが、「特例」を受ける場合は必ず申告する必要があります。
(この場合でも都道府県からは特例の申告の案内書が届くようです。) - 3)不動産取得税は原則として次の算式金額となります。
- 1)不動産取得税とは、土地や建物などの不動産を取得した人に対して、都道府県が課税する地方税です。
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2.不動産取得税の税率の特例の改正(延長)
住宅や土地を取得した場合の不動産取得税の税率は本則4%ですが、これを3%とする「住宅の取得及び土地の取得に対する不動産取得税の税率の特例」がありますが、その適用期限が令和3年3月31日のところ、改正により下表のとおり3年延長されました。
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3.不動産取得税の課税評準の特例の改正(延長)
宅地及び宅地比準土地を取得した場合におけるその土地の取得に対して課される不動産取得税の課税評準は、その土地の価格(固定資産税評価額)の2分の1とされる「宅地評価土地の取得に対して課する不動産取得税の課税評準の特例」がありますが、その適用期限が令和3年3月31日のところ、改正により下表のとおり3年延長されました。
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Q2.
特定の住宅とその敷地を取得した場合の不動産取得税は、前問の特例に加え、さらに軽減されているそうですが、どんな内容ですか。
- A2.
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一.特定の住宅を取得した場合の課税評準の軽減特例
一定の新築住宅又は中古住宅(後述二の2.3ご参照)を取得した場合は、次のとおり課税評準が軽減されます。この特例の対象となる住宅には、週末に居住するために郊外等で取得した家屋や、遠距離通勤者が平日に居住するために職場の近くで取得した家屋(いわゆるセカンドハウス)が含まれますが、別荘など専ら日常生活以外の用に供する家屋は含まれません。
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1.新築住宅の課税評準等の軽減特例
- 1)新築住宅(未居住の新築住宅の購入を含みます)に係る不動産取得税の税額は次の算式のとおりです。
- (固定資産税評価額-新築住宅に係る控除額)× 税率3%=税額
- 2)新築住宅に係る課税評準の控除額
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- ①控除額1,200万円のケースの適用要件
- イ)戸建て住宅で床面積50㎡以上240㎡以下
- ロ)戸建て以外の貸家住宅で床面積40㎡以上240㎡以下
(サービス付き高齢者向け住宅は30㎡以上180㎡以下)
- ②控除額1,300万円のケースの適用要件
令和4年3月31日までに新築された認定長期優良住宅 - ③控除額(1,200万円又は1,300万円)は共同住宅の場合は、一区画ごとに控除します。
- ①控除額1,200万円のケースの適用要件
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2.中古住宅の課税評準等の軽減特例
- 1)中古住宅に係る不動産取得税額は次の算式のとおりです。
- (固定資産税評価額-新築時期に応じた控除額)×税率3%=税額
- 2)特例の対象となる中古住宅の範囲
- 自己の居住用で未居住の新築住宅以外であり、次のいずれかの要件に該当する床面積50㎡以上240㎡以下の住宅
- ①昭和57年1月1日以後に新築されたもの
- ②地震に対する安全基準に適合することの証明がされたもの
- ③取得日までに耐震改修工事の申請をし、かつ居住日までに耐震改修工事を完了していること等の一定の要件を満たすもの。
- 3)中古住宅に係る新築時期に応じた控除額
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二.特定の住宅の敷地を取得した場合の税額の軽減特例
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1.一定の新築住宅の敷地又は中古住宅の敷地(後述2及び3ご参照)を取得したときは、土地に係る不動産取得税額(=下記算式A)から、次のaとbのいずれか多い方の金額(=下記算式B)を控除できます。
- 1)算式A
- 2)算式B(=下記aとbのいずれか多い方の金額)
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- a 45,000円
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b
- 3)特定の住宅敷地に係る不動産取得税額=A-B
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2.特例対象となる「一定の新築住宅の敷地」の範囲
前述の「新築住宅の課税評準の軽減特例」の適用要件を充足する新築住宅の敷地であることに加え、次の要件に該当すること
- 1)土地を取得した日以後に住宅の新築をした場合
- 土地を取得した日から3年(やむを得ない事情があるときは4年)以内にその土地に住宅を新築すること
- 2)土地付住宅を取得した場合
- 新築後居住の用に供されたことのない住宅及びその敷地(土地付住宅)を、新築の日から1年以内に取得したとき
- 3)住宅の新築後に土地を取得した場合
- 土地を取得した日前1年以内にその土地の上に住宅を新築していた時(住宅の新築時には借地権などであった敷地を新築後1年以内に買い取った場合などが該当)
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3.特例の対象となる「一定の中古住宅の敷地」の範囲
前述の「中古住宅の課税評準の軽減特例」の適用要件を充足する中古住宅の敷地であることに加え、次の要件に該当すること。
- 1)土地を取得した日以後に住宅を取得した場合
- 土地を取得した人が、その土地を取得した日から1年以内にその土地の上にある中古住宅を取得したとき
- 2)住宅を取得した後に土地を取得した場合
- 土地を取得した人が、その土地を取得した日前1年以内にその土地の上にある中古住宅を取得していたとき
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