Dr.Watanabe’s tax column ドクター渡辺の税金講座 渡辺 豊 税理士事務所代表

令和3年度 税制改正
教育資金及び結婚・子育て資金贈与の
非課税措置の見直し・延長

Q1.
令和3年度税制改正で教育資金一括贈与非課税措置の見直しと延長が図られたそうですが、どんな改正ですか。
A1.
  1. 一.現行(改正前)制度のあらまし

    • 1.教育資金一括贈与の贈与税の非課税限度額
      直系尊属(親・祖父母)である贈与者が金融機関(信託銀行、銀行等、証券会社)に、受贈者である子・孫名義の口座等を開設し、教育資金を一括して拠出した場合、この資金については子・孫ごとに1,500万円(学校等以外の者に支払われるものは500万円)が非課税とされています。
    • 2.教育資金の範囲
      =受託金融機関が領収書等をチェックし、下記の教育資金の支出であることを確認します。
      1)下記の学校等に直接支払われる教育費
      イ)学校教育法に定める学校・専修学校など(外国の学校を含みます)
      ロ)児童福祉法等に定める保育所・幼稚園・認定こども園など
      ハ)職業能力開発促進法に規定する職業訓練学校など
      2)学校以外の者に教育に関する役務の提供の対価として直接支払われる金銭等の対価で一定のもの(塾・習い事など)
    • 3.受贈者の範囲
      子・孫など(贈与者の直接卑属)で、受贈契約日における年齢が30才未満であり、受贈日の前年分の合計所得金額が1,000万円以下の者とされています。
    • 4.贈与者が教育資金管理契約終了前に死亡した場合の相続税の取り扱い
      1)当該贈与が贈与者の死亡前3年以内贈与である場合
      ➀その死亡の日における「管理残額」(注1)は、受贈者が当該贈与者から相続(受贈者が贈与者の相続人以外の孫である場合には遺贈、以下「相続等」といいます)により取得したものとみなして相続財産に加算されます。
      • イ)23才未満である場合
      • ロ)学校等に在学中である場合
      • ハ)教育訓練給付分の支給対象となる教育訓練を受講している場合
      ➁上記➀により相続財産に加算された受贈者が、当該贈与者の子以外の直系卑属(孫等)であっても、その管理残額に対する相続税額については、特例により相続税額の2割加算は適用されません。
      2)当該贈与者が贈与者の死亡前3年経過日以前の贈与である場合
      その死亡日における「管理残額」は、受贈者が子、孫にかかわらず相続財産に加算されることはありません。
      (注1)「管理残額」とは、教育資金管理契約に係る非課税拠出額から教育資金支出額を控除した残額をいいます。
    • 5.教育資金管理契約終了時の管理残額の贈与税の取り扱い
      1)教育資金管理契約は、次の事由の区分に応じてそれぞれに定める日のいずれか早い日に終了します。
      ➀受贈者が30才に達した日
      ただし、受贈者が30才に達した日において学校等に在学している場合、又は教育訓練をうけている場合を除きます。
      ➁受贈者が30才に達した日後、学校等に在学した日、又は教育訓練を受けた日がなくなった年の12月31日
      ➂受贈者が40才に達した日
      ➃受贈者が死亡した日
      ➄教育資金口座等の残額がゼロになり、かつ教育資金管理契約を終了させる旨の合意に基づき終了する日
      2)教育資金管理契約の終了時に管理残額がある場合の贈与税の課税関係は下表のとおりになります。
  2. 二.改正事項

    • 1.贈与者が死亡した場合の相続税の取り扱いの改正
      1)改正により管理残額は相続財産に加算されることが原則となります。
      教育資金管理契約終了の日までの間に贈与者が死亡した場合には、その死亡の日までの年数にかかわらず(=当該贈与が贈与者の死亡前3年以内か、3年経過以前かにかかわらず)同日における管理残額を受贈者が贈与者から相続等により取得したものとみなされることになりました。
      ただし、贈与者の死亡の日において受贈者が次のいずれかに該当するときは除かれます。
      イ)23才未満である場合
      ロ)学校等に在学中である場合
      ハ)教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講している場合
      (※)上記ただし書部分は改正ありません。
      2)改正により相続税額の2割加算も原則どおりとなります。
      上記1)により相続財産に加算された受贈者が当該贈与者の子以外直系卑属(孫等)である場合には、その管理残額に対する相続税額については、原則どおり相続税額の2割加算の対象とされることに改められました。
    • 2.改正により対象に加えられた保育料等
      この制度の対象となる教育資金の範囲に、1日当り5人以下の乳幼児保育をする認可外保育施設のうち、都道府県知事等から一定の基準を満たす旨の証明書の交付を受けたものに支払われる保育料等が加えられました。
    • 3.改正時期等
      1)上記1.の改正は、令和3年4月1日以後の信託等により取得する信託受益権等について適用されます。
      2)上記2.の改正は、令和3年4月1日以後に支払われる教育資金について適用されます。
      3)適用時期の延長
      本特例制度の適用期限(令和3年3月31日)が、令和5年3月31日まで2年延長されました。
Q2.
令和3年度税制改正で結婚・子育て資金一括贈与非課税措置の見直しと延長が図られたそうですが、どんな改正ですか。
A2.
  1. 一.現行(改正前)制度のあらまし

    • 1.結婚・子育て資金一括贈与の非課税限度額
      直系尊属(親・祖父母)である贈与者が金融機関(信託銀行、銀行等、及び証券会社)に、受贈者である子・孫名義の口座等を開設し、結婚・子育て資金を一括して拠出した場合、この資金については子・孫ごとに1,000万円(使途が結婚関係のものは300万円)が非課税とされています。
    • 2.結婚・子育て資金の範囲
      =受託金融機関が領収書等をチェックし、下記の結婚・子育て資金に該当することを確認します。
      1)受贈者の結婚に際して支出する下記の費用
      イ)受贈者の婚姻の日の1年前の日以後に婚礼事業を行う事業者に支払われる婚礼
      ロ)受贈者の婚姻の日の1年前の日から婚礼の日の1年後までの間に締結される新居の賃貸借契約に基づき、その契約日以後3年以内に支払われる家賃・敷金・仲介手数料などで、賃貸人又は宅地建物取引業者に支払われるもの
      ハ)受贈者の婚姻の日の1年前の日から婚姻の日の1年後までの間に新居への引越し費用として運送業者に支払われるもの
      2)受贈者(その配偶者を含みます。以下同じ)の妊娠、出産、又は育児に要する下記の費用
      イ)受贈者の不妊治療のために要する費用又は妊娠中に要する費用で、病院、診療所、助産所又は薬局(以下病院等といいます)に支払われるもの
      ロ)受贈者の出産の日以後1年以内に病院等に支払われる出産費用、産後ケア費用等
      ハ)受贈者の小学校就学前の子の医療費で病院等に支払われるもの
      二)受贈者の子の保育費で幼稚園、保育所、認定こども園、ベビーシッター事業者等に支払われるもの
    • 3.受贈者の範囲
      子・孫など(贈与者の直系卑属)で受贈契約日における年齢が20才以上50才未満の者であり、受贈日の前年分の合計所得金額が1,000万円以下の者とされています。
    • 4.贈与者が結婚・子育て資金管理契約終了前に死亡した場合の相続税の取り扱い
      1)その死亡の日における「管理残額」(注2)は、受贈者が当該贈与者から相続等により取得したものとみなして相続財産に加算されます。
      ただし、贈与者から相続等により管理残額以外の財産を取得しなかった受贈者については、相続開始前3年以内の贈与に該当する場合であっても、相続財産に加算の規定は適用されません。
      2)上記➀により相続財産に加算された場合、受贈者が当該贈与者の子以外の直系卑属(孫等)であっても、その管理残額に対する相続税額については、特例により相続税額の2割加算の適用はありません。
      (注2)「管理残額」とは結婚・子育て資金管理契約係る非課税拠出額から結婚・子育て資金支出額を控除した残額をいいます。
    • 5.結婚・子育て資金管理契約終了時の管理残額の贈与税の課税関係
      1)結婚・子育て資金管理契約は、次の事由の区分に応じ次に掲げる日に終了します。
      ➀受贈者が50才に達した日
      ➁受贈者が死亡した日
      ➂結婚・子育て資金口座等等の残額がゼロになり、かつ結婚・子育て管理契約を終了させる旨の合意に基づき終了する日
      2)結婚・子育て資金管理契約の終了時に管理残額がある場合の贈与税の課税関係は、同日における贈与者の状況にかかわらず次のとおりです。
      ➀上記1)の➀、➂に該当する場合
      =その該当する日の属する年の贈与税の課税価格に算入されます。
      ➁上記1)の➁に該当する場合
      =贈与税の課税価格には算入されません。
  2. 二.改正事項

    • 1.相続等により取得したとみなされる場合の相続税の2割加算の取り扱い
      贈与者の死亡により贈与者から相続等により取得したものとみなされる管理残額についてその贈与者の子以外の直系卑属(孫等)に相続税が課される場合には、その管理残額に対応する相続税額は、原則通り相続税額の2割加算の対象とされることに改められました。
    • 2.受贈者の年令要件の引下げ
      受贈者の年令要件の下限が、民法改正に伴い、現行の20才以上から18才以上に引き下げられました。
    • 3.結婚・子育て資金の範囲の拡大
      この特例の対象となる結婚・子育て資金の範囲に、1日当り5人以下の乳幼児保育する認可外保育施設のうち、都道府県知事等から一定の基準を満たす旨の証明書の交付を受けた者(認定こども園)に支払われる保育料等が加えられました。
    • 4.改正事項の適用時期
      1)上記1~3の改正事項の適用時期
      令和3年4月1日以後の結婚・子育て資金管理契約について適用されます。
      2)適用期限
      結婚・子育て資金一括贈与の非課税措置の適用期限が令和5年3月31日まで2年延長されました。